相談発生後の手続き

期限のある手続き

・相続放棄、限定承認:「自分に相続が発生したことを知ってから3か月以内」に家庭裁判所に所定の手続きをする必要があります。

・準確定申告:相続開始(故人が亡くなった時)から4か月以内に管轄の税務署に、故人の死亡した年度の確定申告をする必要があります。

・相続税申告:相続開始(故人が亡くなった時)から10か月以内に管轄の税務署に、相続税の申告をする必要があります。

相続が発生すると大きく2つの手続きが必要になります。同時並行して進めていくことが多いので、最初にいつ頃どのような手続きが何が必要なのか、全体像を把握することが大切です。

1.役所や生命保険会社等の事務手続き

子の手続きは、年金や健康保険等の役所の手続きから、電気・水道等の解約やクレジットカードの解約などと多岐にわたっているので、当事者である相続人や家族がどの手続きが必要となるかを最初に把握することが大切です。相続発生から14日以内のように手続き期限が短いものから5年以内、期限なしのようなものまであるので、こまめに時間を見つけて処理するようにしましょう。

2.遺産相続手続き

相続といえば、一般的に遺産相続手続きのことを意味します。遺産相続手続きは、預貯金や不動産等の故人の遺産を相続人に分ける手続きで、数か月単位の時間をかけて慎重に進めていくものです。相続放棄の申述手続きや相続税申告のように期限のある手続きもあるので、計画的に進めていくことが重要です。

相続手続きの流れ

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遺言書があるかどうか確認する

相続が発生した時、最初にすることは「遺言書があるかどうか」を確認することです。原則、遺産分割協議の内容よりも、遺言書の方が優先されます。そして、遺産相続では、遺言書があるか否かによって手続きの流れが大きく異なります。

〇遺言書がある場合故人の書いた遺言書に従って遺産を分けます。遺言書に従った相続の仕方を指定相続と言います。指定相続では、遺言執行者が指定されていることが多く、遺言執行者が相続人に代わり相続の手続きを行なうことになります。

〇遺言書がない場合:相続人による遺産分割協議によって遺産を分けます。遺言書がない場合の相続の仕方を法定相続と言います。法定相続と言っても、必ずしも法定相続分で遺産を分ける必要はなく、相続人全員の合意があれば自由に遺産を分割することができます。ほとんどの場合がこの遺産分割協議による手続きです。2番以下の流れは、遺言書がない場合の遺産相続手続きの流れとなっています。

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戸籍を集めて相続人を確定する

遺言書がないことが分かったら、遺産分割協議の準備として、法定相続人を確定するための戸籍を集めます。

集める戸籍の範囲は、法律によって決められていますので、それに従って集めることになります。戸籍集めは集めた戸籍は、預貯金や不動産などの全ての相続手続きで使われる必須の書類になります。

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相続財産を調べて確定する

戸籍の収集と同時並行して故人の遺産がどれだけあるのかを確認します。遺産には預貯金や不動産のようなプラスの財産と借金や未払金のようなマイナスの財産があります。

金庫やタンスの中の通帳やカードだけでなく、故人のエンディングノートや手帳、PC、スマホなどを手がかりに、くまなく探します。

全て調べ終わったら、財産目録を作成してどのような財産がどれだけあるのかが一目で分かるようにしておきます。

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遺産分割協議の準備をする

相続人の代表者(世話役)は、協議の日時や場所、当日持参する物などについての連絡・調整を行います。その際、遠方にいる相続人や高齢の相続人がいる場合の参加方法等についても検討する必要があります。

また、事前に他の相続人の意向を聞いて、協議のたたき台となる分割案を作成しておくことも必要です。遺産分割協議が円滑に進められるように万全の準備をすることが遺産分割協議成立のカギです。

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遺産分割協議

相続人が集まり、故人の遺産をどのように分けるのかを話し合う遺産分割協議を行います。相続の多くのケースで、最大の山場となるのがこの遺産分割協議です。

遺産分割協議では、相続人全員の合意で協議が成立します。一人でも反対している者がいた場合には、協議不成立となり、銀行等の相続手続きは一切できませんので注意が必要です。

協議が成立した場合は、協議の結果を遺産分割協議書にして残しておきます。また、銀行等の手続き依頼書に必要な署名・押印をもらっておくと、その後の手続きがスムーズに進みます。

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各種相続手続き

遺産分割協議の成立により、各種の相続手続きが可能となります。手続きで必要な証明書類は、手続き先の機関によって異なりますので、事前に調べて用意しておくことをお勧めします。基本的な証明書類は次のものです。
【必須の証明書類】
①遺産分割協議書 
②当事者全員の印鑑証明書(発行後6か月以内のもの) 
③相続で必要な戸籍1セットまたは法定相続情報証明 
④被相続人と相続人全員の住所証明(住民票、住民票の除票)

【主な相続手続き】
・銀行口座の解約、名義変更
・株式の名義変更
・不動産の名義変更
・自動車の名義変更